太田さやか筆文字工房 墨技

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墨の色

105歳の美術家、篠田桃紅さんの本に
墨の色は「黒」ではなく「玄〜げん〜」だ、という人がいると書かれていました。
これは中国の老子の言葉とのこと。
玄の意味は人生と宇宙の根源、つまりあらゆることの初めと終わりであると説いています。
玄人(くろうと)という言葉がありますが、これは玄の道を極めた人という意味だそう。
墨が玄の色といわれるのは、墨は何回重ねても真っ黒にはならないから。
(見た目には真っ黒に見えますが…)
墨は塗り重ねても決して闇にはならずに1点の明るさを残す。
そしてその最後の1点は自然や宇宙など
人の手の及ばない何か大きな力によって加えられるべきものであると。
なんだかとても崇高なお話ですが、いわんとしていることは
凡人の私でもなんとなく理解は出来ます。
真の玄人は何もかもやり尽くしたりしないということなのでしょう。
完全な仕事に見せるけれども決して完了にはさせない。
いい意味での余地を残すことの大切さ…。

文字デザインにおいても云えることだと思いました。



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